絵本を読みたいお年頃。

パンダをこよなく愛するあの日の少女が徒然なるままに書く絵本のレビュー。

「ぼくの夏休み」みたいだったあのころの夏の話

つい先日、「tommyの夏休み、『ぼくの夏休み』みたいなんだね! 」と、尊敬する先輩ライターさんから言われた。地元で過ごした子供のころの話をした時だった。

放課後は田んぼをかけてバッタ取り、公園ではセミ取り、縁側にもならないような戸口でのスイカ早食い、暑いねえといいながら涼む風鈴の下……

わたしの地元は、「地元」という言葉がぴったりなほどの田舎町だった。こんな光景は決して珍しくない。夏といえばかき氷に祭り、スイカ割に盆踊り、海水浴に川遊び、虫取りに花火大会だった。

しかし、お決まりなのは子どもだけじゃない。大人もそうだった。

汗だくの法被にねじりハチマキ、「お嬢ちゃん、どうだい? 」が名セリフの屋台のおじちゃん、そして何かとおいしそうに注がれる紙コップの生ビール。夏の大人といえば、女性も男性もこんな感じだった。当時はわからなかったけれど、こうして思い返すと、なかなか粋だ。

そんな、まさに「ぼくの夏休み」的な子どものころの夏景色は、子ども心ながらに気に入っていたのかもしれない。だからこそ、いまだって鮮明に、思い出される。

今はもう、珍しい風景だからこそ、思い出される。

たった何年か前の光景が今はもう、珍しい。
わたしも偉くなったものだ、と勘違いをしてみる。

「あの夏はもう、戻らないのかな」と、いつかの幼心を頼りに感じるノスタルジーは、いつまで続くのだろうか。

今年も、夏が終わる。